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テントウムシダマシは、名前のごとくテントウムシとよく似ている虫なのですが、テントウムシはアブラムシなどを食べてくれる益虫なのに対して、テントウムシダマシは畑の作物を食い荒らす害虫なんです。
せっかく丹精込めて作った作物を食い荒らされてしまっては、とっても悔しいしやりきれないですよね。
そうならないためにも、適切な方法でテントウムシダマシを駆除して、なおかつ寄せ付けないようにしましょう。
もくじ
テントウムシダマシとは?
テントウムシダマシとは、テントウムシ科マダラテントウ亜科に属する昆虫です。
テントウムシ科の昆虫は、日本国内に約200種類生息していると言われているのですが、そのうちの約8種類が俗にいう「テントウムシダマシ」と呼ばれている害虫にあたります。
日本の畑で比較的よく見かけるテントウムシダマシは、以下の5種類になります。
ニジュウヤホシテントウ
体長は5.5~7mmほどで、黄褐色や赤地に合計28個の黒い斑点があるのが特徴です。
赤地のものはテントウムシとよく見ており、区別が付きにくいです。
関東南部から四国、九州までの西日本に多く生息しています。
ナス科の作物の害虫として有名です。
オオニジュウヤホシテントウ
オオニジュウヤホシテントウは、体長が約7~8mmあり、黄赤褐色~オレンジ地に合計28個の黒い斑点があります。
ニジュウヤホシテントウと比べると黒い斑点が大きいため、全体的に黒っぽく見えます。
主にじゃがいも、トマト、ナス科の植物の葉を食べ、北海道、本州、四国、九州などに多く生息しています。
トホシテントウ
体長は6~9mmで、成虫は赤地に黒い斑点が10個あります。
見た目はナナホシテントウに似ていることから、見分けることが難しいです。
ナナホシテントウより丸っとした体つきで、羽は毛羽立ってツヤがないことが特徴です。
本州から九州にかけて分布し、成虫も幼虫もアマチャヅルなどのカラスウリ類の葉を食餌とします。
トホシテントウの幼虫は、体中に枝分かれした長いトゲ(突起)があり、気持ち悪い見た目をしています。
ルイヨウマダラテントウ
やや色が濃く、オレンジ色に黒い斑点が特徴です。
ルイヨウボタンの葉っぱを主に食べてしまうことから名付けられました。
関東近縁でよく見られる種類で、オオニジュウヤホシテントウとよく似ています。
インゲンテントウ
インゲンテントウは体長6~8.5mmで、その名の通りサヤインゲンなどマメ科の植物を食餌とします。
一見、ニジュウヤホシテントウに似ていますが、インゲンテントウは黄色~オレンジ地に黒い斑点が8個しかないのが特徴です。
元々はメキシコなど中米に分布していた外来種で、現在は本州中部(長野県、山梨県)に分布し、しかも標高500~1500mの地域に限られています。
テントウムシダマシの生態
姿かたちがテントウムシによく似ている
テントウムシダマシの大きさは、テントウムシ同じくらいで体長約7mmです。
小さいので、ぱっと見ではテントウムシと本当に区別がつきにくいかと思います。
野菜の天敵テントウムシダマシ
じゃがいもの葉が食べられる後があったので探してみるといました!
鎧袖一触してやりました! pic.twitter.com/W3wkiBvcri— 野菜ソムリエのふさ太郎(森田房幸) (@yukimifusa) May 19, 2020
また、テントウムシはアブラムシなどを捕食する肉食の虫であり、なおかつ自分の体内に毒(アルカロイド)を蓄えて天敵から身を守ることができます。
それに対してテントウムシダマシは、肉食ではなく草食であり、身を守るような体内毒も持ち合わせていません。
そのため、テントウムシに体を似せることで、天敵から身を守っているのです。
実際、姿がテントウムシに似ていることで、鳥から食べられる危険も避けられています。
テントウムシダマシとテントウムシの見分け方
テントウムシダマシとテントウムシは本当に似ているのですが、見分け方としては次の4点が挙げられます。
・テントウムシダマシは産毛のようなもので体全体が覆われている
・テントウムシダマシは斑点がぼんやりしている
・テントウムシダマシはテントウムシよりも斑点の数が多い
・テントウムシダマシには艶がないが、テントウムシには艶がある
また、テントウムシは肉食系なのでアブラムシが大量発生している場所などによくいますが、テントウムシダマシは葉の裏で多く見られます。
ですから、作物の葉っぱに食べられたような跡があった場合、そこにいた昆虫はテントウムシダマシである確率が高いといえます。
テントウムシダマシが発生する時期は?
テントウムシダマシが発生する時期は毎年4月~10月頃です。
たいてい4月頃から発生し、寒くなってくると物陰に集団で移動し、ひっそりと越冬します。
秋に卵から孵った幼虫は、約1ヶ月でサナギになり、成虫の姿で枯れ葉や草の根元で冬を越します。
関東地方より南に生息しているテントウムシダマシは、年に2~3回卵を産み、関東地方より北に生息しているテントウムシダマシは、年に1~2回卵を産みます。
産卵回数が多いこともさることながら、メスは1度の産卵で数十個の卵を産みます。
そのため、過ごしやすい好条件の環境ですと、恐ろしいスピートでその数を増やしていきます。
なお、寿命は約2~3年です。
これも何の因果なのか、テントウムシの寿命とほぼ同じなんですよ。
テントウムシダマシが好む植物は?
テントウムシダマシは、基本的に暖かい時期に発生します。
そのため、夏野菜を中心に被害が起こりやすいです。
とくに、ナス、トマト、プチトマト、キュウリ、瓜のような「ナス科・ウリ科」の作物には大量発生しやすいので、注意が必要です。
ほかには、
・ピーマン
・ゴボウ
・唐辛子
・白菜
・枝豆
などの野菜も要注意です。
テントウムシダマシは成虫も幼虫どちらも、葉や果実を網目状に食い荒らす特徴があり、また非常に食欲旺盛なため、あっという間に被害が広がっていきます。
網目状に食い荒らされてしまった葉っぱは光合成ができなくなるため、野菜等が育たなくなり、よって収穫量に影響が出てきてしまいます。
また、果実は皮が硬くなってしまったり見た目が悪くなってしまうなどの悪影響があり、熟す前に枯れてしまうこともあります。
幼虫の主食は葉肉なのですが、葉っぱを食い尽くすと次は茎や果肉を食い荒らしはじめます。
そして、成虫になると今度は花や果実まで食い荒らすようになるので、大変厄介な害虫なのです。
テントウムシダマシが1匹いたら大量にいる可能性大
テントウムシダマシは、成虫になると集団で行動しなくなりますが、幼虫のころは集団で行動する習性があります。
ですから、1匹見つけると他にもテントウムシダマシがいる可能性が大なのです。
また、成虫のテントウムシダマシは飛べますから、好物の作物に飛来してくるため、集まりやすくなります。
集まった成虫は産卵し、どんどん卵が孵化して増殖していきますので、テントウムシダマシを1匹見つけた場合には、他にもいないか探してみる必要があります。
テントウムシダマシの駆除方法
先にも述べましたが、テントウムシダマシを1匹見つけた場合は、他にもいる可能性が高いので、駆除は徹底的に行うようにしましょう。
テントウムシダマシの卵の駆除方法
テントウムシダマシの卵は1mm~1.5mm程の大きさで、黄色がかっています。
作物の葉の裏に黄色い卵を密集させて生みつけるのが特徴です。
葉っぱの裏を見て卵を見つけたら、その葉ごと取り除いてしまいましょう。
取り除いた葉をその辺に放置していると、卵がそのうち孵化してしまうので、必ず袋に入れて処分してください。
テントウムシダマシの幼虫の駆除方法
テントウムシダマシの幼虫は体長4mm程度のタワシのような形をしており、色はクリーム色で体にはたくさんのトゲが生えています。
くっつき虫のような形とでもいいましょうか。
ナスの葉にテントウムシダマシの幼虫が10匹以上いてキモかった。。。
ちなみに、こんな虫です pic.twitter.com/2RcKNKOuj5— hahhii (@hahhii) July 7, 2013
ん~~、気持ち悪いですね!
テントウムシダマシの幼虫は、孵化してから幼虫までの間、ほとんど集団で行動します。
そのため、1つの葉っぱに留まっていることが多く、比較的発見しやすいので駆除しやすいといえます。
しかし、テントウムシダマシの幼虫は小さく見つけにくいので、食い荒らされている葉っぱを見つけたら、その葉っぱごと取り除いてしまうのが良いでしょう。
その際、地上に落ちた幼虫がいないか確認し、必要なら殺虫剤を使って駆除すると安心です。
テントウムシダマシの成虫の駆除方法
テントウムシダマシは、成虫になると団体で行動しなくなりますが、とても目立つ姿をしていますので、比較的見つけやすいかと思います。
しかし、1回の駆除だけではなかなか難しいので、日ごろからこまめに葉っぱをチェックすることが大事となってきます。
テントウムシダマシの成虫は、葉に貼り付く力が弱いので、作物を揺らすとポロポロと落ちてきます。
作物から離れたテントウムシダマシは、一般的な殺虫剤などでも駆除することができます。
テントウムシダマシは農薬で駆除が可能
テントウムシダマシは基本的に薬剤への耐性がないので、予防効果のある農薬を植物に散布すると、かなり効果が期待できます。
テントウムシダマシに効果的な農薬(薬剤)は、スミチオン乳剤・アクタラ・アディオン・ベジタメート・モスピランなどがあります。
ここでは、3つご紹介したいと思います。
それぞれ、使用説明書をよくお読みになってからご使用ください。
スミチオン乳剤
スミチオンという名前は、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
プロの農家でもよく使われているスミチオン乳剤は、野菜のみならず果樹にも使える農薬です。
ナス類であれば、収穫の1~3日前まで使用できるというのも特徴です。
※アブラナ科には使用できません。
テントウムシダマシはもちろんのこと、そのほかの多くの害虫駆除ができるのですが、スミチオン乳剤は害虫の発生を予防する効果はありません。
また、害虫の体に付着しないと駆除の効果が無いため、テントウムシダマシを見つけたら、直接スミチオン乳剤を吹きかける必要があります。
アディオン乳剤
アディオン乳剤は登録作物が非常に多く、広範囲の害虫に対して有効なのが特徴です。
ピレスロイド剤特有の速効的ノックダウン効果を発揮し、優れた残効性と特異な忌避作用を示します。
アクタラ粒剤
アクタラ粒剤は、葉っぱへの吸収率が良いため効果が安定しており、耐雨性にも優れていますから雨が降っても安心です。
作物の隅々まで行き渡り、隠れている害虫も一網打尽にできます。
農薬意外でもテントウムシダマシは駆除できる?
農薬でなくても、市販の薬剤でテントウムシダマシを駆除することは可能です。
パイベニカVスプレー
パイベニカVスプレーは、人体への毒性が極めて低いことが特徴です。
テントウムシダマシに対しては非常に高い駆除効果があり、ほかにも青虫やコナガなどの駆除にも向いています。
ベニカ水溶剤
ベニカ水溶剤は、有効成分が葉や茎から吸収されて植物全体に行き渡るため、効果の持続性が期待できる薬剤です。
したがって、葉の裏に潜んでいる害虫にも効果てきめんです。
また、従来の薬剤に抵抗性を持っている害虫にも高い効果を発揮しますので、テントウムシダマシのみならずアブラムシなどあらゆる害虫の駆除に適しています。
テントウムシダマシを寄せ付けたくない!予防方法は?
テントウムシダマシを発生させたくない!寄せ付けたくない!という場合には、以下の方法がおすすめです。
ジャガイモを近くに植えない
テントウムシダマシは、暖かい季節になってくるとジャガイモの葉に数十個の卵を産み付け、そこから数十匹幼虫が孵化します。
そこからまた2ヶ月ほどで産卵をして、どんどん大量に増え続けていくのです。
そのため、テントウムシダマシの好物であるナス科・ウリ科の作物の近くにはジャガイモを植えないようにしましょう。
どうしても植えなければならないという場合は、他の野菜から離れた場所に植えるようにしてください。
デントコーンを植える
「デントコーン」とは、飼料用トウモロコシで、非常に背が高くなる植物です。
そのため、デントコーンをナス科やウリ科の作物の周囲に植えることで、テントウムシダマシから野菜を守る「壁」が作れ、 テントウムシダマシが作物に到達するの防ぐことができます。
防虫ネットや寒冷紗をかける
作物の背が低い場合は、防虫ネットや寒冷紗をかけて作物を育てることで、テントウムシダマシが作物に付いたり卵を産み付けられるのを予防することができます。
好物の雑草を見つけたら、すぐに処分する
テントウムシダマシの好物は、主にナス科やウリ科の野菜の葉っぱです。
これは野菜の苗に限ったことではなく、ナス科やウリ科の雑草にも飛来してきます。
そのため、ナス科やウリ科の雑草を見かけたときはすぐに抜いて処分しておきましょう。
おわりに
テントウムシダマシ、とても厄介な害虫ですね。
私の親は畑をしていますから、テントウムシダマシの駆除方法をさっそく教えてあげようと思います。
せっかく丁寧に育てた作物が駄目になってしまったら悲しいですからね。
テントウムシダマシの予防対策や駆除を徹底して、美味しい野菜や果実を作ってくださいね。
では今回はこのへんで。
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